小学校2年生の私の息子は、ダンス(ヒップホップ)を習っていた。
1つだけの習い事で、毎週土曜日に通っていた。
そのダンスが昨日で終わりになった。
先生が仕事が忙しくなってしまい、続けられなくなったということだった。
息子はダンスが好きで、オリンピックのダンスを見たり、妻と動画のダンスを見たりし、見よう見まねで踊ったりしていた。ど素人の私が見て、なんかちょっと上手だと思った。
今の先生のダンス教室は、家の近くでやっているとチラシが入って知った。体験をしたところ先生が優しく、子どもに合わせて教えてくれてよさそうだったので入会した。
始まったのが去年の11月らしい。いつの間にか1年間やっていた。
一度会場と時間帯が変わり、会場は近くなってよかったが、時間は午前10時から午後5時に変わりあまり私が行かなくなった。
息子は家ではあまり踊らないので分からなかったが、昨日行ったらまた上手になったなと思った。
先生とも久しぶりに会って話をした。それぞれの保護者の方たちと話す流れで私も話したのだが、
「今回辞めるにあたっては、(私の息子を見て)顔がちらつきました。また単発で教えられる時があったら教えてあげたいです。」とうれしいことを言ってくれた。
毎回数名の小学生、しかも低学年が多めのクラスだった。休み時間には先生も巻き込まれる鬼ごっこが始まることもしばしば。
でも先生からするとうちの息子は「まじめ」なのだそう。普段の息子を見ている私たち、寝る時私に爆笑しながら乗っかってくる息子、いつまでもゲームをして辞めない息子、人の話を全然聞かず独断でびっくりすることを始める息子・・・。
我々はそんなイメージから素直にうなずけないが、だが先生の前では確かにそう、まじめだったかもしれない。
最後のダンスを前にし私は息子に「先生にお手紙を書こうよ」と言った。
少しアドバイスをし、しばらく見守っていると自分で文章を書き始めた。書きあがった文章は私たちに見せてくれなかった。
私は去年まで小学校教員を長い間していた。子ども達から手紙をもらうのはとてもうれしい。だからぜひ書こうと勧めた。
1時間のレッスン。先週まで踊って練習してきた少し長い一連のダンスを仕上げて終わった。息子の踊りっぷりにも力が入っていた。
終了後記念撮影、先生が子ども達からのプレゼントをそれぞれ受け取る中、息子もタイミングを見て手紙をわたした。普段では見られない何とも言えない顔をしていた。
出会いもあれば別れもある。息子にとってはいい経験になったに違いない。
またある程度の期間一緒にやってきた友達とも別れの時、妻にとってはその保護者達とも顔なじみだ。
先生と別れる時、「息子さん、才能あるので、ぜひダンス、続けさせてあげてください。」
なんて言葉だ。自分ではなく息子が言われた。なのにとても嬉しい。私がだいぶ年下の先生との別れに涙しそうになった。私にとってもかけがえのない出会いそして別れだった。
親になると、息子の分の一期一会もしばらくは引き受けるんだな。
家に帰ってすぐ、代わりのダンス教室をネットで探すが、なかなかない。
いやはや、習い事はしばらく難しい。違う習い事も検討するか。いつかまた、チャンスができダンスができるかもしれないし。