Sattokun’s diary

元教員 小学生息子を持つパパのブログ

あきらめない

 昨日、息子(小1)が「自転車に乗りたい」と言い始めた。

 

「ま、気持ちは分かるのだが・・・。」と、私は少しもやもやする。

 

息子は、思考が刹那刹那である。または、思いがいつもその場限り、とでも言おうか。

 

例えばテレビのコマーシャルを見ていると、アミューズメント施設のCMを見て「うわー、ここ、行きたい!」と目をキラキラさせて言うが、週末、私たちがそこに休日行けるか真剣に考えていると、彼の反応は「え、行くって言ったっけ?」とか。「やっぱりやめる。」とか、思いはかなりしぼんでしまっている。

 

1歳のクリスマスに、「ストライダー」という乗り物を買った。小さい自転車のような、ペダルの無い乗り物だ。私たちは、やがて乗ってくれることを期待して買った。

「どの色がいい?」と聞いた時、息子が指さしたのは、ピンクのストライダーだった。『今は気にしなくても、少し大きくなったらピンクは乗りづらいのでは・・』という親心から、違う色もかなり勧めたが、絶対ピンクがいいと言ってきかないので買った。

 

それ以来、私たちは彼に、時々ストライダーで遊ぼうと誘ってきたのだが、あまり遊ぼうとはしなかった。しつこく言って公園に持っていき乗っても、すぐにやめてしまうことが続いた。彼は怖がりで、おそれを感じるとどんなに勧めても絶対に無理はしない。補助輪なしのゆらゆら揺れるストライダーに進んで乗ろうとしないのは彼らしいと思っていた。

そうした経緯から私はストライダーのことは忘れていて、気づけば我が家の納戸のこやしとなっていたのである。

 

だが、そんな息子が昨日「自転車に乗りたい。」「自転車が欲しい。」と言うのである。一時のみの思いにとどめさせたくはない。そこで私は「ストライダーはもう乗れるの?乗れるようになったら自転車を買うよ。」と言ったのだった。「明日、ストライダーを乗りに、公園に行こう。」という私の誘いに、息子は「うん。」と言った。

 

 

今日の午前中、ピンク色がまぶしいストライダーを車に乗せ、郊外の広い公園に出かけた。芝生の広場の端がゆるやかな勾配になっており、ストライダーに乗って坂を下ると勢いがついて乗りやすい。今までそのようにしてストライダーの練習をしている小さい子を見かけたことがあったので、息子にもその練習をさせようと思っていた。

 

『昔は難しそうだったが、今は一年生。体も以前より安定し、精神的にも強くなっている。うまく運転しながら坂を降りれるのでは』と期待していた。すると、期待通り、足を地から離し降りることができ始めているではないか!

 

私が喜び、息子は2,3回、ストライダーで坂を降りる。「いいぞー!」私が声を掛ける。しかし、上手に坂を下りた息子は、やや表情が曇っていた。そして、「ちょっとやりにくいよ~。」と言う。なんと、息子はストライダーが「小さい」というのだ。

 

わがやの納戸で長い間眠っていた結果、息子の体は大きくなり、ストライダーのサイズは、彼にとってやや小さいものとなってしまっていた。買ったときはずいぶん大きかったストライダー。心身ともに成長した息子。ようやく彼の気持ちはストライダーに追いついたが、体格はストライダー標準を追い抜いてしまっていたのだ。何たることだ。

 

 だが、私はストライダーの大きさよりも、彼のその場限りの気持ちの方が問題だと思った。昨日は自転車に乗りたいと言っていたのに、ちょっと辛いと簡単にあきらめて、それではいかん。「自転車も、買わなくていい。」と言う息子に、私はイライラ。

 

 「そんな簡単にあきらめちゃダメ!」と、珍しく息子を叱り、息子は坂道を10回、泣きながら降りるのでした・・・。